2025/01/26

トラウマと正義感の狭間で。『おんどりの鳴く前に』


 『おんどりの鳴く前に』。村長に対する忖度によって平穏が保たれている村を揺るがす殺人事件。ことなかれに徹して静かに暮らすことを望む主人公の警官を中心に物語は進む。派手さはないが、主人公のトラウマと元来の正義感の不安定なバランスが、絶妙に表現されている。

2025/01/25

章ごとに、紙の色、質が違う、単行本版『すべての、白いものたちの』


 紀伊国屋書店に行ったところ、ハン・ガンをはじめ韓国小説のポップアップ展示。テンショが上がり、大人買い。
 『すべての、白いものたちの』は、文庫版を持っているのだが、単行本を手にして、その装丁に感動。章ごとに、紙の色、質が違うのよ。これは、すごい。 

理不尽さのない正統的な作品。『ヌルボムガーデン』


 『ヌルボムガーデン』。実在するらしい心霊スポットを舞台に繰り広げられる韓国ホラー。
 恨まれて当然な人が恨まれる理不尽さのない正統的な作品。「何で、そんなことするかな〜」と何度思ったことか。
 被害者が加害者になり、その加害者と被害者家族の利害が一致していくという展開、そして、不気味でしかないラストシーンも素晴らしい。好きです。

2025/01/24

元気をもらえること間違いなし。『104歳、哲代さんのひとり暮らし』

 『104歳、哲代さんのひとり暮らし』試写会。尾道に住む哲代さんの101歳から104歳までを追ったドキュメンタリー。哲代さんに元気をもらえるし、出てくる人が、ほんと素晴らしい。哲代さんが、12.8を回想するシーンに、人の命は奪われてはならないと思う。

2025/01/22

トランプ政権に鉄槌を食らわすような痛快さ、『DICKS:THE MUSICAL』


 『DICKS:THE MUSICAL』。A24が放つ超お下劣ミュージカル作品。確かに下ネタは多いが、それほど過激ではない。のだが、トランプ政権に鉄槌を食らわすような痛快さで、とにかく笑いっぱなし。
 そして、劇中歌が、かっこよくて、下らなくて、たまらん。特に、ミーガン・ザ・スタリオンのパフォーマンスは最高だった。加えて、謎のクリーチャー、下水道ボーイズもいい。リピート必至の怪作。

大人にとっては他愛がなくとも、少女たちにとっては一大事。『ペパーミントソーダ』


 『ペパーミントソーダ』。ウェス・アンダーソンが、お気に入りのフランス映画7作品のトップバッターに選んだという1977年の作品。1963年のパリに暮らす10代の姉妹の一年間を描かれている。大人にとっては他愛がなくとも、少女たちにとっては一大事なのである。そんな作品だった。

2025/01/20

大久保のハルコロに行ってみたい。『そして、アイヌ』


 『そして、アイヌ』試写会へ。以前インタビューした『ケアを紡いで』の大宮浩一監督の最新ドキュメンタリー映画。沖縄、朝鮮半島とも共通する差別の歴史。アイヌについて、知ったつもりになっていたと痛感。舞台となっている大久保のアイヌ料理の店、ハルコに行ってみたい。

古典的な要素ありのサイコスリラー。『モルグ 屍体消失』


 『モルグ 屍体消失』デジタルリマスター版。ヨーロッパで最も恐ろしい映画と言われたらしい30年前の北欧作品。伏線を十分に張っておいて、後半にグイグイ回収させる展開で、古典的な要素ありのサイコスリラーかな。
 余談だが、10人ほどの高校生かと思われるグループが、終わってから楽しそうに会話をしてるのが、印象的だった。この作品をどこで知ったのかとか、感想とかを聞いてみたかった。

2025/01/13

結局、みんな、いい人じゃん。『ありきたりな言葉じゃなくて』


 『ありきたりな言葉じゃなくて』。悪くはないが、結局、みんな、いい人じゃんな落とし込みは、好みじゃない。もう少し作りようがあったかと。

2025/01/11

これはハマる。ひたすらにカードをめくり、サイコロを振り、ボードに記入『ニュースボーイズ』


 吉祥寺で昼食を終えて、前から興味があったボードゲームの店、すごろく屋へ。おもしろそうなゲームが並ぶ店内、あれこれ見ていると、店員さんがいろいろと説明もしてくれる。で、『音速飯店』と『ニュースボーイズ』を購入。
 「シオ」「ラー」「タン」「メン」などと書かれたカードを使って、中華メニュー名を揃えていく『音速飯店』は、サクッと手軽に遊べる。
 一方、『ニュースボーイズ』は、街で新聞の販売地域を拡大していくという、カード、ボード、ペン、サイコロを使ったゲーム。まず京子さんと説明書を読み込み、ゲームを始めるまで1時間。そして、ひたすらにカードをめくり、サイコロを振り、ボードに記入。最初は、複雑さを感じたけど、これは、面白いと、二人でハマる。1ゲーム20〜30分ほどだが、楽しいわ。

ミック・ロンソンの映像には満足。『David Bowie: Up Close and Personal』


 『David Bowie: Up Close and Personal』。アンジーが、自慢げにしゃべり過ぎだし、ボウイファンは映像も大してないので、見なくてもいいかも。私としては、ミック・ロンソンの映像がそこそこにあって、良かったけど。

音声トラブルで肝心なセリフが分からず、モヤモヤが残る『私にふさわしいホテル』

 のん主演『私にふさわしいホテル』。原作は柚木麻子、監督は堤幸彦、と、なかなか興味深い。と言うか、のん主演作品は見てるかな。で、無茶苦茶おもしろいのに、途中劇場の音声トラブルで肝心なセリフが分からず。次回使える招待券をもらったが、モヤモヤするわ〜。

2025/01/10

奇妙で可愛らしい寓話『デリカテッセン』

 『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネとマルク・キャロの共同監督作品『デリカテッセン』が、4kレストア版として再上映。核戦争で荒れ果てたパリの精肉店に辿り着いた青年と、訪問者を殺し肉にして売るマッドな父親から救おうとする娘が奏でる奇妙で可愛らしい寓話。いい。

2025/01/07

「rockin’on sonic 2026」のラインアップは?

 「rockin’on sonic」を終えて、一番考えたことは、(40~)50代以上がターゲットのイベントで、今後どのアーティストがラインアップされるのかということ。
 今回のラインアップを見ると、ヘッドライナーは、①1990年代に活躍していた、②今でも活動しているアーティストで、③アリーナクラスの会場をソールドアウトさせることはなくても、ZEPPクラスはいっぱいにするアーティスト。
 そこで、少し古い資料だが、その昔に遠征したレディング・フェスティバル’92のパンフレットを見ながら、考えてみた。
 ヘッドライナーは、SMASHING PUMPKINS、PAVEMENT。今回のマニックス、プライマル、ジザメリの位置に、SUEDE、RIDE、THE CHARLATANS、TEENAGE FANCLUB、THE WONDERSTUFF。
 そこに、今が旬の中堅・若手アーティストが、数組かな。
 それにしても、野外フェスで、LP盤大のパンフが発行されているって、時代性とは言え、すごいと思う。「rockin’on sonic」でも出せば、売れるのでは?

今回は、『スパイナル・タップ』の香りに加え、『ブルース・ブラザース』オマージュあり『ヘヴィ・トリップⅡ』


 『シリアル・ママ』に続いて二本目は、そうとう下らなかった前作に、まさかの続編が!ということで、『ヘヴィ・トリップⅡ/俺たち北欧メタル危機一発!』。
 前作で収監された、“終末シンフォニック・トナカイ粉砕・反キリスト・戦争推進メタル”バンド=インペイルド・レクタム(直腸陥没)メンバー4人が脱獄するところから、物語は始まる。商業主義のプロデューサーに、世界最大のメタルフェス、Wacken Open Airへの出演オファーを受けるも、メンバー間の確執もあり、なかなかうまく行かず。
 『スパイナル・タップ』の香りに『ブルース・ブラザース』オマージュあり。メタル愛に溢れながらも、今のシーンのあり方をシニカルに描くブラックコメディ。今回も笑えた。
 カメオ出演かと思っていたBABYMETALが、普通に演技しているのに、ちょっと驚いたし、「ギミチョコ」がサントラに入っているのも微笑ましいかと。


後半で展開される法廷劇がとんでもなく破天荒『シリアル・ママ』


 2025年、映画館での映画鑑賞最初の作品は、1993年に公開された『シリアル・ママ』。
 厳格な母親が、理想の家庭を維持するために、ルールを破る者6人を雑に殺害。家族もそれに気づくも、彼女は心の病だと信じ逃がそうとするのだが、結局逮捕される。
 ここまでは、まーありがちなのだが、後半で展開される法廷劇がとんでもなく破天荒。法廷で彼女は弁護士を解雇し、自らを弁護。検察、陪審員を相手に、さまざまな理屈を繰り出し、な話。こういう作品、好きだな。
 L7が出演しているのも、素晴らしいと思う。

2025/01/05

次はあるのか? 「rockin’on sonic」

 「rockin’on sonic」。ラインナップとしては、MANIC STREET PREACHERS、PRIMAL SCREAMは文句なしで、初来日以来のTHE JESUS AND MERRY CHAINも良かった。余力があれば、他のアーティストも楽しみたかったが、不満なし。
 そして、退場に時間が掛かるため、がっつりと見ることは出来ないにしても、2ステージの待ち時間がほぼないことや、50代の私たちにとっては、ベンチがたくさんあったのも、うれしい。
 ただ、恐らく50代以上がターゲットのイベントで、この規模の会場がちょうどいいアーティストって、他に誰がいるかしらと考えてしまう。今回、rockin’on sonicに行った人だけでなく、行かなかった人と、その辺の話をしてみたい。
 余談だが、やはり幕張は、ロンドンより遠いことを実感。二日続けてだったし、なおさら。

“If You Tolerate This Your Children Will Be Next”は、混沌とする世界へのマニックスからのメッセージ。「rockin’on sonic」二日目


 「rockin’on sonic」二日目。われらが、MANIC STREET PREACHERS。“You Love US”から始まる代表曲のオンパレード。正直、「もう、いいんじゃね?」と思う部分もあるのだが、曲が流れると体が動き声がでるのは、マニックスファンの性であり、致し方なし。
 ラストは、“If You Tolerate This Your Children Will Be Next”。混沌とする世界へのマニックスからのメッセージと受け止めた。


 マニックスの前には、30年ぶりに見るジザメリ。もう少し轟音だったような気もするが、それでも十分に堪能したけど。

2025/01/04

ラメラメスーツのボビーが素晴らしくボビーだった、「rockin’on sonic」初日のPRIMALSCREAM


 「rockin’on sonic」初日、PRIMALSCREAM。新曲も織り交ぜたセットリスト、良かった。ラメラメのボビーのスーツも素晴らしい。ボビーはいつ見ても、そして調子が良かろうと悪かろうとボビーなんだよね。
 ところで会場にいたみんなは、ニイマリコさんによるボビーのインタビューを読んだかしら? まだなら、読んでね。