2021/04/24

本はフィジカル。『ブックセラーズ』


 ニューヨークの古本市に集うさまざまなブックセラーズの人生を描くドキュメンタリー『ブックセラーズ』。本好きには、たまらんと思い見に行ったら、想像を超えてきた。
 もともと白人男性の趣味から始まる本の収集が、コレクター、バイヤー、セラーを生んでいくのだが、性、人種などの差別問題を抱えつつ、多様性を包み込んでいく。
 ネットが発達しようとも、本は死なない。内容だけではなくて、装丁、触り心地、匂い、すべてが本である。「フィジカル」って表現されていたのが、印象深い。
 そして、「緊急事態宣言」前日に、本屋を扱った作品を、映画館で見た意義は、私にとって大きい。

2021/04/21

変わっていくもの、変わらないもの。『街の上で』


 映画『あの頃。』『愛がなんだ』の今泉力哉監督作品『街の上で』。舞台は、下北沢。変わりゆく街にあって、珉亭、C.C.C.、にしんば、THREEなど、今でも馴染みの場所が登場する影響か、「あんな時もあったな」と、どこか懐かしさもある青春群像劇。若い役者も何だか友人たちにいそうだった。
 街並みは変わっても変わらない、文化というか思想ってあるよね、と、いい作品です。

2021/04/19

核廃絶を希求する全ての人たちの決意が込められた作品『ヒロシマへの誓い サーロー節子とともに』


 映画『ヒロシマへの誓い サーロー節子とともに』。
被爆者としての体験を語り継ぐと同時に平和活動も行ない、2017年にノーベル平和賞授賞式でスピーチを行った、サーロー節子氏を追ったドキュメンタリー」という謳い文句だが、それだけではない。被爆者、次世代、そして核廃絶を希求する全ての人たちの決意が込められた作品。

2021/04/18

アマズィーグ人を知らなかった自分の無知を痛感『ハウス・イン・ザ・フィールズ』


 モロッコの高アトラス南西地域に住むアマズィーグ人の生活を描く、『ハウス・イン・ザ・フィールズ』。まず、アマズィーグ人を知らなかった自分の無知に気づき、そして、ジェンダー平等指数下位の日本の遅れを痛感。

2021/04/14

漂流する高齢労働者たちの切ない愛情物語『ノマドランド』


  『ノマドランド』。原作は、ジェシカ・ブルーダーが2017年に発表したノンフィクション『ノマド: 漂流する高齢労働者たち』。リーマンショック後に解雇されたり離職せざるを得なかった労働者たちのその後。
 車に住み移動しながら季節ごとに職を探す。決して豊かではない。
 この状況をトランプは分断で乗り越えようとしたのだが、映画は、そこになびかなかった市井の人々を描く。フリーダムな視点は、アメリカ的か。
 登場人物は、みんな、高齢で孤独であるけど、仲間がいて、場合によっては家族もいる、そこが切ないのだが、そこが、また愛情を感じる場面でもある。公的福祉も、ノマドには冷たい。なかなかに複雑で重い。名作だと思うし、主人公らがアマゾンで働いていることが、作品をよりリアルにしている。実際、そうだったんだろうね。
 そして何より、ほとんど予備知識を入れずに見に行ったので、エンドロールまで気づかなかったのだが、主演のフランシス・マクドーマンドと、デビッド・ストラザーン以外の出演者は、実際のノマドで実体験を語っているという。ここは、最重要ポイントだと思う。

2021/04/10

歩こう、歩こう


 週末、吉祥寺に行くことは、よくある。というか、しょっちゅうあるのだが、今日は、歩いて行ってみようということで、中川遊歩道、三鷹台団地通りから、井の頭公園通りを歩く。
 写真を撮ったりしながらで、所用1時間ほど。緑が多くて、気持ちがいい。

2021/04/09

こんな軽いノリの映画は久しぶり、『パーム・スプリングス』


 タイムループムービー『パーム・スプリングス』。何と、まー軽いノリの映画だった。設定は面白いけど、オチがご都合主義的かな?
 

2021/04/08

中島セナ


 出来上がった映像と撮影手法が話題のポカリスエットの新CMに抜擢されたのは、『WE ARE LITTLE ZOMBIES』で、ちょっと影のあるクールな女の子を演じた、中島セナ。映画公開当時のこのブログで「瞬殺された」と書いてあったが、時代に追いついてきたかな。いい俳優だと思う

2021/04/07

予期せぬ出来事に、招かざる客まで『VIVARIUM』


 不動産屋に紹介された物件から出られなくなるというサスペンスホラー『VIVARIUM』。
 町から出られなくなるという設定の作品は少なくなし、結構好きなのでが、この映画の場合、プラスの要素が怖い。ただでさせ予期せぬ出来事なのに、そこに招かざる客まで。そして奇声に悲鳴。どんよりするわー。でも、割と好き。もっと早く来れば良かった。

可能性は無限でチュー『へんしんっ!』(私立恵比寿中学とは無関係)

 電動車椅子を使って生活する石田智哉監督が障害者の表現活動の可能性を探ったドキュメンタリー『へんしんっ!』。全盲の俳優・美月めぐみさん、ろう者の通訳の育成にも力を入れているパフォーマーの佐沢静枝さんらを訪ね、多様性について考える。監督自身も、パフォーマーとしての表現に挑戦するのだが、まー刺激的。人間って面白い。可能性大なのだから、それぞれが大事にして大事にされなければならないので、大事にしない人は嫌いです。
 日本語字幕と音声ガイド付きのオープン上映として劇場公開される。6月19日~、ポレポレ東中野、チュプキタバタで。

 

2021/04/05

知り伝えろ! 『わたしは分断を許さない』


 ジャーナリスト堀潤さん作品『わたしは分断を許さない』が、ミャンマーの今の映像を追加したニューヴァージョンによる再再上映。福島、辺野古、日朝、シリア、ガザ、何が分断を生むのか。
 上映後には、堀さんの舞台あいさつ。映画に込めた思い、今のミャンマーで繰り広げられている非人道行為の数々を、知り伝えなければならない。誰も傷つけられず殺されない世界にするため、今の自分にできることを。

ちょっと切なかったりする『JUNK GEAD』

 新進気鋭のアニメーション・クリエーター堀貴秀が、監督・原案・キャラクターデザイン・編集・撮影・照明・音楽をこなしたストップモーションアニメ『JUNK HEAD』。独学でアニメを学び、製作7年、総ショット数約14万コマ、ファイギュアは手作りなど、話題に欠かない本作は、遠い未来を描いたちょっと切ないハードアクション。脳内を駆け巡る音楽がすごく良かった。

 

2021/04/03

原題である『herself』をなぜ採用しない『サンドラの小さな家』


  『サンドラの小さな家』。「ケン・ローチ作品を彷彿とさせる」なんて言われているが、そんなでもなくて、これは、これって感じ。原題である『herself』をわざわざ変えて邦題を付ける意味合いは、まったく感じないと思う。エンドロールではっとさせられたよ。