2024/01/27

ボーダーレスは非現実的なのか?『葬送のカーネーション』


 『葬送のカーネーション』。亡き妻の遺体を埋葬するため、孫を連れ棺と共に、トルコから国境を越えた故郷へ旅する老人。移民である老人は、トルコ語を話すことができず、孫が人々との間に入るのだが、孫との関係も、ギクシャクしているのか、会話は少ない。ラストシーンで、鉄条網越しに祖父を見つめる孫が、祖父を呼ぶ。いつの間にか、彼女に感情移入していた自分に気付かされた。
 常々、国境なんて必要ないと思っているのだが、世界の現状を見つめ、そして、この作品を見たいま、改めて、その思いが強くなった気がする。