2021/05/11

見えないのか、見ないのか。『海辺の彼女たち』


 日本に出稼ぎに来たベトナム人女性たちの覚悟と生き様を描いた『海辺の彼女たち』。外国人技能実習生を題材とした作品だが、いま改悪されようとしてる『入管法』ともリンクする。ていねいな取材に基づく映画だけに、重たく、いろいろと考えさせられる。
 『ノマドランド』で描かれたアマゾン労働者同様、消費者からは見えない彼女たちの存在を前提とした、私たちの生活という、あまりにも理不尽な現実。働いたら見合った対価が支払われ人間らしく生活ができる、それだけのことを世界はまだ実現できていない。
 パンフレットには、映画では描かれなかった基礎情報や制作者のインタビューがたっぷりと掲載されており、理解を深めるために必須だと思う。