2020/07/16

ジャンル分けなんて必要ない佳作、『ラ・ヨローナ』


 グアテマラの軍事政権による先住民大虐殺を背景に、南米の怪奇伝説「ラ・ヨローナ」(悪霊、殺人鬼など。冠詞がlaなので、女性だと思われる)を取り入れた作品、『ラ・ヨローナ~彷徨う女~』。
 宗教(黒魔術や祈祷)、歴史(ヨーロッパ諸国による植民地支配)、社会正義などの要素が入り混じっているのだが、とてもきれいに整理されていて理解しやすいと思う。
登場人物の葛藤に対する、キーとなる女性の冷めた目線。見た後、悪夢にうなされそうな感じもするが、それも、また良し。ホラー、サスペンス、社会派など、ジャンルなんて無用に感じる、なかなかの佳作でした。