2022/12/21

映画史唯一の養鶏サスペンス『殺しを呼ぶ卵』


 1968年、イタリア=フランス合作『殺しを呼ぶ卵』。映画史唯一の養鶏サスペンスらしい。養鶏サスペンス? イタリアの養鶏場を営む妻と渉外担当みたいな役割の夫、夫の愛人、愛人の愛人の愛憎劇と言えば、安っぽい設定に思えるが、ほんとうに安っぽい。
 で、いま上映されているのは、公開時に削除された残虐、異常シーンを含む「最長版」。予告編からして、すでに異常なのだが、なかなかに、淫美でグロテスク。現代音楽的なBGMが、雰囲気を増長。苦手な人は、多いかも。
 と思って見ていたら、案外に、資本対労働階級、大量生産と搾取など、当時の社会的課題が作品の要素として取り入れられていて、しかも、それらが現在にも通じるものばかりで、びっくり。
 と感心していたら、どうなのよ?なラスト。興味のある人は、ぜひに~。


いま最強かもよ、GLIM SPANKY


 GLIM SPANKYの「Into The Time Hole Tour 2022」昭和女子大学 人見記念講堂の初日。まさかの最前センターという良席で、緊張。しかも、けっこうライブに来ているわりに、音源は持っていないので、ちょっと心配。でも杞憂だったよ。
 曲がいいから、知らなくても、すっと体に入って来る。松尾さんのボーカルは超絶にうまいし、亀本さんのギターがロックンロールで、立ち姿もカッコいい。バンドメンバーとの相性もいいんだね。とにかく楽しかった。
 そして、人見記念講堂は、音が抜群。来年は、エビ中にも使ってほしいよ。

2022/12/16

私立恵比寿中学 柏木ひなた卒業式「smile for you」

 私立恵比寿中学 柏木ひなた卒業式「smile for you」。エビ中は、ハコ推しと言いつつも、ひなた、ラストよ。どうするよ。
 ebiture(オーバーチュア)がなく、センターステージに、ひなただけが登場し、『なないろ』を一人で歌い始める。ライトは、りななんのイメージカラー青。ここで、すでに涙腺が決壊。前半は、ひなたメインの楽曲が続く。『どしゃぶりリグレット』なんて、ライブで聴くのいつ以来?
 後半は、今のエビ中のハードナンバーからの『まっすぐ』へ。ここも、やばい。ラストは、『スーパーヒーロー』。
 アンコール。今月配信が開始されたひなたが参加した最後の曲『ボイジャー』をライブで初披露。この体制で見られるのは、今日の一回限り。『約束』、そして、『フレ!フレ!サイリウム』。会場が、オレンジ色に染まる。これで、終了かと思いきや、ラストは、『
仮契約のシンデレラ』。聴きたい曲は、もっともっとあるけど、いやー終わってしまったよ。
 でも、ひなたもエビ中もおわらない。だから、追い続けるしかないね。
 

性自認をちょっと違った角度で描いた『そばかす』

 三浦透子主演の『そばかす』。『ドライブ・マイ・カー』は見ていないのだが、『カムカムエヴリバディ』での好演が印象に残る三浦透子。妹役が、『サマーフィルムにのって』の伊藤万理華、その母親役で、坂井真紀。
 性自認、多様性、偏見といったテーマを、うん、これまでとは違う角度で描いてた。三浦透子が歌う主題歌も含め、いい。 

A24らしい『MEN』


 A24の『MEN』。主人公の前に、同じ顔の男が次々に現れるというやつ。A24らしいというか、こんな設定を、よく思いつくと感心してしまうし、何だ、今年一番こわかったよ。もう一回かな。
 残虐というよりかは、かなり好き嫌いが分かれる描写もあるので、万人にお勧めはしない。

2022/12/14

『トゥルーマン・ショー』のようであり、『ミッドサマー』感も。『ドント・ウォーリー・ダーリン』


 『ミッドサマー』のフローレンス・ピュー主演の怖い話『ドント・ウォーリー・ダーリン』。虚構と現実が交差する街が舞台『トゥルーマン・ショー』のよう。フローレンス・ピューの影響もあろうが、閉ざされた空間でのドラマが『ミッドサマー』的でもある。興奮のラストまで、目が離せない。

詩を詠むバーテンダー役のイ・ジュヨンが気になる、『夜明けの詩』


 『ベイビーブローカー』に出演していたイ・ジウンが、コーヒーショップで時間を失くした女という役を演じる『夜明けの詩』。生死、記憶など、なかなか深いテーマ設定で、説明くさいところがなく、思考回路をフル回転。静かで、いい作品。重いけど。詩を詠むバーテンダー役のイ・ジュヨン、なかなかの好演だった。他の作品も見てみたい。

2022/12/11

ちょっとした法廷劇だったのね。『ザリガニの鳴くところ』


 『ザリガニの鳴くところ』。かなり見たかったのだが、なかなか時間が合わなくて、ようやく劇場へ。ミステリー要素の強い法廷劇。これは、おもしろい。テイラー・スウィフトの主題歌も、いい。原作も読んでみたくなったので、さっそく購入。けっこう忠実に描かれているかと。

2022/12/07

反戦映画だった、『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』


 『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ監督作品『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』。
 時代設定を少し変えたことにより反戦を明確に提示、ダークな要素も多いが、ちょっと切なくも温かいラストシーンもが印象的で、ピノッキオ作品では、間違いなく一番好き。Netflixでの配信に先駆け、劇場公開。公開期間は限られているが、劇場で見たい作品だと思う。

裏神楽坂が舞台『ドーナツもり』


 『ドーナツもり』。神楽坂が舞台の短編。SNS時代だからこその、SNS抜きの他人との交流(ちょっとしたおせっかい)を描いた作品。なかなかいいです。神楽坂って、飯田橋から坂を上った界隈と、神楽坂駅周辺でけっこう雰囲気が違うんだよね。今どきは、裏神楽坂って呼ぶらしい。
 実際にあるドーナツもりのドーナツが登場するのだが、食べたくなった。
 上映後には、主演の中澤梓佐さん、仁科かりんさん、定谷美海監督のトーク。撮影秘話など、楽しく聞かせてもらった。リピートしそうな予感。

2022/12/06

「東日本大震災」、家族との別れ、コロナ禍の先に。『ただいま、つなかん』


 『ただいま、つなかん』の試写会へ。100年続く牡蠣養殖業を営む菅野夫妻は、「東日本大震災」当時、津波で浸水した自宅を補修、ボランティアの拠点として開放。若者たちに「つなかん」と呼ばれた場所を「みんながいつも帰ってこられるように」と民宿として再生した。その後の家族との死別、コロナ禍など、今に至る「つなかん」の10年余りを追った作物語。

2022/12/04

ちょっとプレゼンみたいだった『マッドゴッド』


 特殊効果の巨匠フィル・ティペットの新作ダークファンタジー『マッドゴッド』。すごくよくできているんだけど、ちょっとプレゼンを見せられているような感じかな~。

2022/12/01

原題(BARBAQUE)のように、主人公はBBQを楽しんでいた、『ヴィーガンズ・ハム』


 『ヴィーガンズ・ハム(原題:BARBAQUE)』。経営難に苦しむ町の小さな肉屋が、ある日、ヴィーガンの活動家に襲撃される。で、偶然店主が活動家を殺害し死体の処理に困り、ハムに加工。妻が誤って販売したところ、それが人気商品になるという、何ともおぞましい設定。コリン・ウイルソンの『現代殺人百科』で言及されていた事件のオマージュだとお壊れるが。
 で、作品中は、追い詰められた人間の行動や、人種差別・分断が表現されているのだが、何せ描写が、ね。髙橋浩司にしか、勧めません。

聖なる鐘が鳴り響く夜には、恐ろしいことがあるらしい。『サイレント・ナイト』


 クリスマスイブと言えば、ゾンビや殺人鬼がよく登場するのだが、今回は有毒ガスで人類が滅亡するという『サイレント・ナイト』。政府発表は正しいのか、大人は真実を見抜けているのか。『ジョジョ・ラビット』のローマン・グリフィン・デイヴィス演じる少年アートの正論が熱い。そして、かなり悲しい結末が待っている。