国際ロマの日
4月8日は、国際ロマの日。世界各地で、ロマに関する多くのイベントが催されたと言う。そして、東京でも、日本で初めて、国際ロマの日の催しが開かれた。
と書いても、ロマって何?という人がほとんどだと思う。
私も2年ほど前までは知らなかったし、ロマについて学ぼうと思ったのも、ここ数ヵ月のこと。だから、あまり詳しくはない。
ロマとは
ロマは、インド北部を発祥とする民族で、東ヨーロッパやバルカン半島、フランス、ドイツ、イタリアなどに住んでいる。
「ジプシー」と言えば分かりやすいかもしれないが、これは、ロマに対するステレオタイプ的なイメージを含む差別的な表現であり、世界標準では使われない言葉だ。後で紹介する映画は、あえて、“Gypsy”を使用している。
ロマの人々は、歴史的に迫害され続けてきた。古くは中世から、そして、ナチスによるアウシュビッツでのホロコースト、現在は、EU諸国での極右による襲撃や政府からの差別的扱いなど。日本では、これらの事実は、ほとんど報道されない。また、報道されても間違っていることが多いとの指摘もある。
ロマ・ミュージシャン描くロードムービー
今日の企画は、反差別国際運動日本委員会によるもの。ロマの専門家であり活動家でもある、ウィーン生まれの金子マーティンさん(日本女子大教授)による話と、ウィーン在住のロマ、ギタリストのハリー・シュトイカー(写真)が、友人とともに、自分たちの父国(と彼らは表現していた)である北インドを訪れ、音楽での交流を通じ、ロマの原点を探り感じるというロードムービー的ドキュメンタリーが企画の柱だ。映画では、インドだけではなく、ルーマニアのロマの青年ミュージシャンも加わった、ウィーンでのライブがハイライト。
まず、ロードムービー好きとして、素直に作品が良い。音楽好きなら誰でも気に入るはず。音楽に言葉はいらないを、地で行っている。
映画では、住むところは違っても気質は同じというロマ・アイデンティティが共有される。領土にばかり拘る人たちとは、懐の深さが違う。
バックグラウンドを知ると、さらに興味が沸いてくるはずだ。インドやウィーンに行きたくだろう。
そして、何より誰かに伝えたくなる。この映画を観てほしい。ロマを知ってほしいと。
追記:アンディ・マッコイやジャンゴ・ラインハルト、チャールズ・チャップリンに、ロマの血が流れていることも、ロマについて学ぶ動機づけにもなっている。