『ノマドランド』。原作は、ジェシカ・ブルーダーが2017年に発表したノンフィクション『ノマド: 漂流する高齢労働者たち』。リーマンショック後に解雇されたり離職せざるを得なかった労働者たちのその後。
車に住み移動しながら季節ごとに職を探す。決して豊かではない。
この状況をトランプは分断で乗り越えようとしたのだが、映画は、そこになびかなかった市井の人々を描く。フリーダムな視点は、アメリカ的か。
登場人物は、みんな、高齢で孤独であるけど、仲間がいて、場合によっては家族もいる、そこが切ないのだが、そこが、また愛情を感じる場面でもある。公的福祉も、ノマドには冷たい。なかなかに複雑で重い。名作だと思うし、主人公らがアマゾンで働いていることが、作品をよりリアルにしている。実際、そうだったんだろうね。
そして何より、ほとんど予備知識を入れずに見に行ったので、エンドロールまで気づかなかったのだが、主演のフランシス・マクドーマンドと、デビッド・ストラザーン以外の出演者は、実際のノマドで実体験を語っているという。ここは、最重要ポイントだと思う。