「この世に生まれなければ良かった命など存在しないと自分は彼らに言い切れるのか?」。是枝裕和監督は、そう問いかけながら、『ベイビー・ブローカー』を撮影したのだというが、当事者へのていねいな取材を重ねた結果、テーマはとても重たいが、優しくて愛おしい作品になっていた。
ソン・ガンホが、時折、マイケル・ホイを彷彿とさせる滑稽さで、作品に物悲しさを加えている。
そして、ぺ・ドゥナが演じた、冷徹そうで、少しお茶目な一面も持ち合わせる先輩刑事と、後輩役イ・ジュヨンのやりとりもいい。
ロードムービー的でもあり、かなり好みの作品。