2020/06/02

白い暴動、黒い暴動


 1970年代イギリスの反差別運動団体ロック・アゲインスト・レイスズム(RAR)の活動を軸に、人種差別に対する問題意識を提示するドキュメンタリー『白い暴動』。原題も「WHITE RIOT」だが、ザ・クラッシュはあくまでもムーブメントの一つの要素なので、クラッシュに期待し過ぎると肩透かしを食うかも。
 で、最重要は、人種差別・誹謗中傷に溢れた1970年代のイギリスの姿が、今まさに、アメリカで起こっている白人警察官による黒人男性殺害、中国の『国家安全法』による香港での人権侵害・弾圧、沖縄における辺野古新基地建設など、為政者による悪政が生む市民の分断は、コロナと同様に終息の兆しさえ見えないという現実である。
 4月に予定された日本での公開は、コロナの影響で、この時期にずれ込んだのだが、まさにリアルタイムの世情を胸に刻みながら、過去を見つめることは、とても大切だと感じた。
 今まさに見るべき作品。